最初に「首が痛い」のか「のどが痛いのか」確認します。子供は「のどが痛い」ことを「首が痛い」ともいいます。「のどが痛い」場合は「のどが痛い」を参照して下さい。
　「首が痛い」場合、最も注意することは脊髄損傷です。最初に外傷がなかったか。首に強い力が加わらなかったかを確認します。交通事故、転落、転倒、スポーツ中の事故などがあったかどうか確認します。外傷があった場合は頚椎損傷（骨折・腱損傷）が否定出来るまで、脊髄損傷を防ぐため頸部のカラー固定が必要です。首を動かさないようにします。骨折・腱損傷が除外出来るまではカラー固定をしておきます。
　次に注意することは髄膜炎です。髄膜炎の場合は発熱があることが多いです。髄膜炎では髄膜が刺激され首が痛くなることがあります。細菌性髄膜炎はすぐに抗生剤の投与が必須です。
　頸部痛で頻度として多いのは頚部リンパ節炎です。首のリンパ節に炎症がおきます。時に川崎病の最初の症状のこともあります。
　ときにあるのが環軸椎回旋位固定です。環軸椎回旋位固定では首が左右どちらかに傾いて痛くて動かせなくなります。脊椎の１番上の骨が環椎・2番目の骨が軸椎です。環椎と軸椎の関節により首を回すことができます。環椎と軸椎が亜脱臼をしてロックがかかり、首が曲がったままになり痛くて動かせなくなります
　まれな病気に椎間板炎・ジストニア・若年性椎間板石灰化症のことがあります。椎間板炎は脊椎と脊椎の間に炎症が起こります。細菌感染で起こることもあります。細菌は黄色ブドウ球菌のことが多いです。徐々に痛みが出てきます。痛みのため首を動かそうとしなくなります。血液検査で白血球は正常範囲のこともありますが、血沈とCRPは上昇します。
　ジストニアはドーパミン受容体拮抗薬を内服することによって起こります。胸鎖乳突筋という首の筋肉が強く引きつることによって首が意志に反して強く曲がってしまいます。ジフェンヒドラミンを投与することによって、すぐに劇的に改善します。
　若年性椎間板石灰化症では突然の激しい首の痛みがおこり、レントゲンで椎間板に石灰化が見られます。
１最初に頸椎の損傷を除外します。
２次に髄膜炎を除外します。
３最後に頚部リンパ節炎・環軸椎回旋位固定・椎間板炎・ジストニア・椎間板石灰化症ではないかチェックします。