その人の体に合わない物質（抗原）や刺激物が皮膚につくと皮膚が刺激されます。皮膚が刺激されると炎症が起こります。炎症細胞が集まって来ます。また、皮膚の細胞が増殖します。その結果皮膚が分厚くなります。慢性的に刺激が加わり、分厚い皮膚になります。また、表面にはうろこ様の物がつきます。表面にうろこ様の物がついた分厚い皮膚は抗原や刺激物を通しにくくなります。そうやって抗原や刺激物の侵入を防いでいます。すなわち、そこで落ち着いた状態になります。見かけ上はきれいな皮膚ではないかもしれませんが、うろこ様の物と分厚い皮膚で抗原や刺激物の侵入を防いでいるのです。泥棒の侵入を警戒して銀行の建物の壁が分厚く丈夫に作られているのと似ています。アトピー性皮膚炎と共存している状態と言えるかもしれません。本人は特に治療を希望せず、日常生活に特に問題はないと言われる場合もあります。この状態の人を中途半端に治療するとします。たとえば、ステロイド外用剤を中途半端に処方します。すると分厚い皮膚が薄くなります。そして、今まで侵入しなかった抗原や刺激物が侵入してきます。かゆみが強くなります。炎症がひどくなります。このような状態の方に中途半端に治療すると逆に状態が悪くなる場合があります。